ARCHITECT LEGACY

個性豊かに「色」を遊ぶ家 坂城町/M邸 家族構成/3人
▲ ハロウィンやクリスマスなど、季節ごとに飾り付ける玄関周りのデコレーションは、近所の子どもたちの注目の的に。「うちをカフェに見立てて、『ちょっと寄ってく?』なんて遊んでいるようです(笑)」
建築家との家づくりの醍醐味は、自分たちの好きな「色」に染められること。
▲ キッチンもインテリア全体の中で自然に馴染ませるのが「更級流」。

想像以上の広さと明るさ。風通しのよい "Cozy Living"

 エントランスに立つと、吹き抜けの頭上高くから、光が降り注いでくる。「2階にどうぞ!」。明るい奥様の声と光に誘われるようにステップを上がると、階上はさらに眩しい日差しと色にあふれていた。
 真っ白な壁と天井、少し赤みがかった無垢の床。空間のベースとなっている要素は珍しいものではないが、M邸の魅力は、その上にまるで絵具を塗り重ねるように散りばめられたポップな色づかい。パッと目を引く鮮やかなカラーのソファ、キャンディカラーのランプシェード、随所に置かれたボタニカルなグリーンなど――。つい無難な色味でまとめがちな場所に、ビシッと挿し色をもってくるこのセンス。なにやらタダモノではない予感が……。
 聞けば奥様は、数年前まで長くアメリカに滞在し、お仕事をされていたのだそう。

▲ リビング側から見た2階のワンフロア。中央の吹き抜け部分をぐるりと囲むレイアウトが新鮮。デッキ側の窓を開放すればさらに広がりを感じられる。
▲ 床から浮かせた収納ボードやライティングのための天井のスリットが、室内をより広く、シャープに見せている。
「特に海外のスタイルを意識したということもないですが、日本に比べると、欧米は家の中がカラフルかもしれないですね。影響を受けたのは、どこのお宅でも絵が日常的に飾られていること。それを見て、家を建てたら絵をたくさん飾ろうと思っていました」
 リクエストどおり、新居の白い壁にはピクチャーレールが付けられ、お気に入りの国内外のアーティストの作品が並べられている。
 インテリアを引き立たせているのが、空間に実際の数字以上の広がりをもたせる更級圭建築設計のプランニング。ここはもともとご主人のおじい様の家があった土地。「敷地自体も広くないですし、前の家も古くて狭い印象があったので、図面の段階ではまだイメージができなくて。実際に完成した家に入ったら、予想以上に広く感じられてびっくりしました」と、ご主人。1階に寝室などの個室をまとめ、2階はデッキバルコニーを含めたオープンなワンフロアの空間にしたことで、ふだんの家族の居場所が、明るく広く、風通しのいいスペースに仕上がった。
 完成後、個性豊かなインテリアで彩られたM邸を見て、更級氏も感嘆。 「僕がつくれるのはあくまでフレーム。それを生かすも殺すも住む人の感性や楽しみ方なのだなと感じます」
 建築家の手で用意された伸びやかな風通しのよい空間には、これからも色とりどりの「花」が咲き、育っていくに違いない。
▲ 広々と使えるデッキバルコニー。半透明のパネルや、クリアな塗装の木材であえてラフに組み上げたサンルーフの雰囲気は、まるで海岸沿いのビーチハウスのよう。腰高の手すりがちょうどいい目隠しとなって、隣近所の視線を気にすることなくくつろげる。
▲ デッキバルコニーは扉の先にある。グリーンを吊り下げているワイヤーは、天気の悪い日のランドリーフックにもなる。
▲ 収納庫の扉はスライド式なので、小さいお子さんを抱いたままでも楽々。
▲ 天井高いっぱいまである収納庫の扉も、部屋のトーンに合わせて明るめの茶色に。ダイニングに合わせた個性的なランプシェードは、奥様が一目惚れしたというガラス作家イイノナホさんの作品。
▲ すっきりとシンプルにまとめられたエントランス。窓はなくても、吹き抜けや天窓を通して十分な採光がある。シューズボックスの上にもお気に入りのアートを並べて。
▲ 寝室にも奥様こだわりの仕掛けが。ウォークイン・クローゼットの入り口を、ご覧のようなカタチにリクエスト。こんな形状の注文は初めて、と更級氏。「カットしたあとパテで仕上げるなど、職人の皆さんもよくがんばってくれました」。
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PLAN
平面図


設計のポイント

カタチ、色、素材の3つにこだわって設計したM様邸。オリジナリティと遊び心を大切にしつつも、いつまでも飽きのこないデザインを心がけました。もちろん、2階のパブリックスペースをはじめ快適性や居住性にも配慮しています。

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DATA


敷地面積・・・・・・・・  136.53㎡ (41.30坪)
延床面積・・・・・・・・  131.90㎡ (39.90坪)
1F面積・・・・・・・・  71.21㎡ (21.54坪)
2F面積・・・・・・・・  60.69㎡ (18.36坪)

工法/木造在来軸組工法 基礎/ベタ基礎 構造材/ヒノキ、スギ、米マツ 断熱材/天井:セルロースファイバー吹き込み300mm、壁:高性能グラスウール100mm、床:基礎断熱仕様 主な外装仕上げ/屋根:ガルバリウム鋼板、外壁:無塗装サイディングの上吹き付け塗装仕上げ・米スギ無垢材 主な内装仕上げ/天井:クロス、壁:ルナファーザー・ルナ漆喰、床:パイン無垢材・オスモ着色塗装仕上げ開口部/樹脂製複層ガラスサッシ・一部木製サッシ キッチン/TOYOキッチン&リビング キッチン熱源/IHクッキングヒーター バスルーム/ハーフユニットバス+壁タイル仕上げ 給湯の種類/エコキュート

●著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.27より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。
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