ARCHITECT LEGACY

高台にて光とともに暮らす家 松本市/M邸 家族構成/3人
▲ 1歳半の慶太朗くん。すでにしっかりとした足取りで、階段の上り下りもこの通り!
土地がもつその土地らしさ施主の願うその人らしい暮らし。自然に逆らわず、あるがままによりよくなるよう、エッセンスをほんの少々。つくること。住むこと。育つこと。すべての喜びに祝福された、光の箱の物語。

光、風、風景。その土地のもつ物語を設計する。

 見上げる先、四角く切り取られた窓の向こうに、青い、青い、信州・松本の空が浮かんでいた。しばらく同じ場所に佇んでいると、ゆっくり光と雲が移動していくのがわかる。モミジの青葉が風に揺れる。なんだろう、この心地よさは。家全体に安らかな、日だまりのようなぬくもりが満ち満ちている。
 赴任先の松本に家をもつことを決めたMさん夫妻。高台の公園の近くに、風通しのよい土地を見つけた。ただしそこはかなりの勾配がある傾斜地。いくつかハウスメーカーを訪ねてみたが、どの提案にもオリジナリティが感じられず、価格の折り合いもつかなかった。
 そんな折、更級建築士と出会い、届いた図面と模型を見て、驚いた。ときめいた、といってもいい。「自分たちがこうだったらいいなと思い描いた絵が、予想を遥かに超えて、そこにあったんです」
▲ エントランスのある中央にのみレッドシーダーの木壁を使用。無機質な外観と内部とのギャップに、来訪者はみな驚かされる。
太陽の位置で、季節を知る。忘れていたリズムを思い出す。
▲エントランスホールにはモルタルを敷いて三和土のようなイメージに。船のデッキのような階段が家の中央のアクセント。
▲おおらかな空間を縦横無尽にのびのびと走り回る。大人だって裸足で走りたくなる!
▲吹き抜け部分の天井高は5m、その開放感たるや圧巻だ。
更級氏はどんなマジックを使ったのか?
「敷地の高低差に逆らわず形状を生かしたスキップフロアに。お二人が気に入っていた土地を、地なりのまま生かしたかったので」
 施主の目線に立って風景を眺め、言葉にならない願いにそっと耳を傾ける。どうやら「魔法」は、そんなシンプルでニュートラルなスタンス_ある意味、建築家らしくないともいえる_から生まれてくるものらしい。
 また影の位置が動く。ここでは時計はいらない。光が、一日のリズムをゆったりと刻んでいる。
▲ キッチンの奥の扉を開けば食器棚や冷蔵庫が。空間をスッキリ見せる収納の妙技!
▲ 洗面室から続くバルコニー。
▲シンプルな素材で仕上げたオリジナルの洗面台。大きな鏡の中は収納棚。
▲夫婦の寝室として使っている広々した居室は、やがて子供部屋として仕切ることも可能。
▲室内からのあたたかな光がもれる夕景もドラマチック。
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PLAN
平面図


設計のポイント

高低差のある地形に逆らわず、敷地の特徴をできるだけ生かそうと、スキップフロア構造を採用しました。それぞれの高低差にガレージ、エントランス、LDKのスペースを割り当てて内部を構成しています。 これにより各ブロックにメリハリがつき、空間にリズムが生まれました。1軒の家でありながら、隣の家へ行くような感覚ももてる、楽しい家になりました。

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DATA


敷地面積・・・・・・・・  278.76㎡ (84.32坪)
延床面積・・・・・・・・  148.59㎡ (44.95坪)
1F面積・・・・・・・・  103.88㎡ (31.42坪)
2F面積・・・・・・・・  44.71㎡ (13.52坪)

工法/木造在来軸組工法 基礎/ベタ基礎 構造材/ヒノキ、スギ 断熱材/天井:高性能グラスウール200㎜、壁:高性能グラスウール100㎜、基礎断熱/ポリスチレンフォーム 50㎜ 主な外装仕上げ/屋根:ガルバリウム鋼板 外壁:ガルバリウム鋼板フラットタテ張り その他/一部ウエスタンレッドシーダー張り+オスモ塗装 主な内装仕上げ/床:カバ無垢材+オスモ塗装 開口部/アルミ樹脂複合サッシ、Low-Eガラス その他/家具・洗面造作

■ 参考価格(完成引渡価格) 約2,300万円(税込)
※給排水工事・住宅設備・冷暖房・家具・照明・カーテン・外構含む
※掲載価格については、2014年4月以降、変更される可能性があります。

●著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.17より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。
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