ARCHITECT LEGACY
〝質感〟にこだわれば美しさは自ずとにじみ出る。
テラスに向かって大きく開かれた窓は、掃き出しではなく30㎝ほどの高さがあるため、自然と腰を下ろしてみたくなる。そこは、外と内とを緩やかにつなぐ場所。シンボルツリーのトネリコの樹形の影を映しながら柔らかな光が差し込み、風が仕切りのない空間を吹き抜けていく。腰掛けたまま目をつむれば、家の中央を貫く階段の上から、ロフトで遊ぶ子どもたちの声が響いてくる。なんともいえない充足感に満たされる。
ある一定の角度だけ切り取れば絵になる家というのはよくある。ただし今回訪れたM邸のように「全方位から見て」美しい家というのはなかなかお目にかかれない。それはおそらく、ここで感じる「美しさ」というものが、見栄えを重視したアクセサリー的なものではなく、人が本能的に心地いいと感じる「質感」を整えることで自ずとにじみ出る類いのものだからではないだろうか。
ある一定の角度だけ切り取れば絵になる家というのはよくある。ただし今回訪れたM邸のように「全方位から見て」美しい家というのはなかなかお目にかかれない。それはおそらく、ここで感じる「美しさ」というものが、見栄えを重視したアクセサリー的なものではなく、人が本能的に心地いいと感じる「質感」を整えることで自ずとにじみ出る類いのものだからではないだろうか。
「質感」を言葉で表すのは難しい。人によってそれぞれ心地いいと感じる尺度にも違いがある。だからこそ、家に「質感」を持ち込むためには、よき理解者をパートナーとすることが絶対条件になる。M邸は、暮らしの手触りを大切にする住まい手と、感性を同じくするつくり手が出会い、隅々にまで妥協なく手を入れたことで、最上級のクオリティを得た。「何よりも自分たちにとって大切な質感を優先させたかった」という施主の言葉が、良い住まいづくりとは何かという問いに、大きなヒントを与えてくれているような気がする。
設計のポイント
施主のMさんが細かい部分まで研究し明確な方向性をおもちでしたので、じっくり話し合いながら一つひとつ進めていきました。Mさんのイメージも取り入れて、テラスに高さをつけたり吉村障子を取り入れました。設計の視点では、空間をムダなく使い切ること(小屋裏や収納など)や、視線の抜け、和の要素を違和感なく組み入れることなどに気をつけながら、最終的には、長く飽きずに住める、どこから見てもカッコいい家!を目指しました。良い住まいになったと思います。(更級氏)
敷地面積・・・・・・・・ 158.19㎡ (47.85坪)
延床面積・・・・・・・・ 145.93㎡ (44.14坪)
1F面積・・・・・・・・ 92.66㎡ (28.03坪)
2F面積・・・・・・・・ 53.27㎡ (16.11坪)
デッキ面積・・・・・・・ 7.53㎡ (2.28坪)
工法/木造在来軸組工法 基礎 /ベタ基礎 構造材 /ヒノキ、スギ、米マツ、ピーラー 主な外装仕上げ/屋根:ガルバリウム鋼板、外壁:モルタル下地左官塗り 主な内装仕上げ/床:アカマツ無垢材 壁・天井:ルナファーザー・ルナ漆喰 キッチン/トーヨーキッチン&リビング バス /ハーフユニット+サワラ羽目板 暖房の種類/電気式蓄熱暖房機