ARCHITECT LEGACY
左右に結ばれた2つの居住空間
古くは街道沿いの「番所」でもあったという由緒あるTさん宅。築80年を超える旧宅の建替えを機に、二世帯という住まい方を選んだ。広い敷地を生かして、東西にゆったりと配置された建物。中央の共有エントランスを入って、左手にご両親の居住空間。こちらは土間のある広い居間を中心とした平屋建て。そして、右手に息子さん夫妻が暮らす二階建てスペース。 それぞれの空間は、ウッドデッキを挟んで、 付かず離れず、緩やかな距離感を伴いながら一つに結ばれている。
互いに居心地のいい空間を
住まいづくりを主導したのは、息子さんご夫婦。同世代である更級圭建築設計のオリジナリティに惚れ込み、自分たちの思い描く暮らしのイメージを伝え、納得のゆくまでプラン作成を繰り返した。ただし、ご両親を置いてきぼりに進めた訳ではない。なるべく一緒に実際の建築事例を訪ね、建築士とのコミュニケーションも図れるよう配慮した。「俺たちはまあ、お任せだから……」 そうつぶやくお父様だが、 満足しているご様子がその笑顔に滲んでいる。「年代が違えば当然、感じる居心地のよさも違います。そこはお互い、無理に合わせる必要はありません。それぞれにとっての快適性と独立性を最優先し、〝完全に閉じない〟 間取りや、共通の木材を使用することなどで、一つの家としての統一感や一体感を得られるよう心がけました」と更級氏。
代々住み継がれた土地に、また新たな家と家族の物語が始まろうとしている。
設計のポイント
それぞれの「居心地のよさ」を最優先にプランニングしました。エントランスとウッドデッキを挟んで連なる二つの居住空間は、一本の直線の廊下でつなぎ、それぞれの引き戸を開け放しておけば一つながりの空間に。プライベートは確保しつつも「気配」を感じることができる程よい距離感を意識しています。外観も趣は異なりますが、どちらにも共通の木材を使用することで統一感を出しました。
敷地面積・・・・・・・・ 214.38㎡ (64.85坪)
延床面積・・・・・・・・ 171.32㎡ (51.82坪)
1F面積・・・・・・・・ 46.06㎡ (13.93坪)
2F面積・・・・・・・・ 22.42㎡ (6.78坪)
工法/木造在来軸組工法 基礎/ベタ基礎 構造材/ヒノキ、スギ、マツ 断熱材/天井:高性能グラスウール200㎜、壁:高性能グラスウール100㎜、床:基礎断熱仕様 主な外装仕上げ/屋根:ガルバリウム鋼板、外壁:無塗装サイディング下地+左官塗り仕上げ、ガルバリウム鋼板スパンドレル張り 主な内装仕上げ/天井:智頭スギ羽目板張り、ウエスタンレッドシダー羽目板張り、床:ナラ無垢フローリング 開口部/樹脂製断熱窓(Low-Eペアガラス) キッチン/トーヨーキッチンスタイル キッチン熱源/IHクッキングヒーター 給湯の種類/エコキュート 暖房の種類/電気式蓄熱暖房機器、薪ストーブ