ARCHITECT LEGACY

森に抱かれ、同化する家 軽井沢町/K邸 家族構成/4人
▲ 軽井沢の建築条例に則って屋根は切妻に。ガレージの屋根も形状を揃えた。緩やかな傾斜を生かした緑あふれるアプローチが、訪問者を優しく招き入れる。

自然と共生するひとつの答え

 今も古式ゆかしい正統派別荘地としての風情が残る旧軽井沢エリア。
 傾斜地に立つK邸は、外観は木立に沈むように落ち着いた色調でひっそりと。室内に入れば、大きな開口部から森の景色を一望。屋内にいながらにして周囲の風景と一体化するような開放感が味わえ、スキップフロアによる高低差が、空間にさらなる奥行きをもたらしている。
 敷地内の植生はなるべくそのまま生かしたことで、四季折々に変化する自然の表情も楽しめる。
 森を「拓く」のではなく、森に「同化」する。
自然と共生する住まいとはどんなものか。ひとつの答えを、この家が教えてくれている。

▲ 庭の一角にあるアウトドアキッチン。ベースのみプロの手を借り、ピザ窯などは住まい手が独自に設えたもの。
▲ エントランスからも行き来のできる、リビングの幅いっぱいに設けられたデッキ。地面より一段高く張り出したデッキは、室内からの眺めに奥行きと浮遊感をプラスする。
▲ 景色を最大限切り取るために、開口部はぎりぎりまで大きく、また屋根すれすれまで近づけた。傾斜地で高さもあるため、森に向かって張り出しているように見え、まさに絵のような風景を楽しめる。
▲ スキップフロアで結ばれるリビングとダイニングキッチン。室内に高低差をつけることで、眺めという横の広がりだけでなく、縦にも伸びやかに広がる開放感が加わった。吹き抜けを貫く煙突が印象的なストーブは、薪を縦に丸々入れることのできるタイプを採用。
▲ 2階寝室。天井高が低いことでかえって屋根裏部屋のような落ち着きを感じられる。
▲ 1階にしつらえた畳の間。来訪客がある際は客間として使用できる。
▲ 大きな開口部+高さのある吹き抜けで、実際の数字以上の広さを体感。天井面にたっぷりと使用した木材が、自然豊かな環境にもぴったりマッチし、一体感を生み出している。
▲ スキップフロア形式で、中2階の高さにあるダイニングキッチン。ここにも大きな開口部を設けてあるため、オープンスタイルのキッチンからも眺めを一望できる。
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PLAN
平面図
立面図


設計のポイント

「森に浮かぶリビング」をコンセプトに、リビングからの景色をいかにダイナミックに取り込むかを考え、プランしました。設計ラインぎりぎりまで大きく設けた開口部と、傾斜地を生かして外へと張り出すデッキは、周囲を森に囲まれた絶好のロケーションならでは。スキップフロア構造にすることで、空間にリズムを与えると共に、床下、小屋裏収納を取り、空間を無駄なく使いました。軽井沢の別荘地特有の湿気対策には、各部屋にルームドライヤーを設置して常時稼働させています。

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DATA


延床面積・・・・・・・・  129.16㎡ (39.07坪)
1F面積・・・・・・・・  87.76㎡ (26.55坪)
2F面積・・・・・・・・  41.40㎡ (12.52坪)
デッキ面積・・・・・・・・  14.84㎡ (4.49坪)

工法/木造在来軸組工法 基礎/ベタ基礎 構造材/ヒノキ、スギ、米マツ、ピーラー 主な外装仕上げ/屋根:ガルバリウム鋼板、外壁:ガルバリウム鋼板、ウエスタンレッドシーダー羽目板張り 主な内装仕上げ/天井:ウエスタンレッドシーダー羽目板、壁:クロス、床:ナラ無垢材(床暖対応)植物系自然塗料仕上げ キッチン/トーヨーキッチンスタイル バスルーム/ハーフユニットバス+サワラ羽目板 暖房の種類/薪ストーブ、電気式床暖房、電気式蓄熱暖房

●著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.25より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。
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